リマスターされて登場する本作は、メインテーマを伊藤賢治氏が手がける新曲へのアップデートをはじめとした追加要素があり、マルチプラットフォームに提供されるほか、ローカライズされてワールドワイドで展開が行われる。
そんな『勇者死す。again』について、クリエイターの桝田省治氏にインタビューでお答え頂いた!
(記事:山村 智美)
――いよいよ『勇者死す。』のリマスター版である『勇者死す。again』の発売となるわけですが、そもそも『勇者死す。』の企画を作られたのはかなり前だとお聞きしました。何周年ぐらいになるのですか?
桝田氏:数えてみたら、企画してからという意味だと30年は経ってるんだよ。
――30年ですか!想像以上に長い……。
桝田氏:企画書として残っているものだと20数年前に作ったものがあるのだけど、それ以前にも『勇者死す。』の企画書は書いているんだよね。それがたしか『俺の屍を越えてゆけ』の企画を最初に考えていた頃と同じぐらいの時期で。
『俺の屍を越えてゆけ(以下、『俺屍』)』と同じ頃ということは『リンダキューブ』と同じ頃でもある。そして、『リンダキューブ』と同じ頃ということは、『天外魔境II 卍MARU』を作っているときでもあるので、その頃にはもう『勇者死す。』の企画書は上がっていたんだよ。
※『俺の屍を越えてゆけ』は1999年に発売されたPlayStation用ロールプレイングゲーム
※『リンダキューブ』は1995年に発売された、PCエンジンSUPER CD-ROM²用のサイコスリラー+ハンティングRPG
※『天外魔境II 卍MARU』は1992年に発売されたPCエンジンSUPER CD-ROM²用のロールプレイングゲーム
――ということは企画が生まれたのは1990年頃のことで、そこから数えると30周年ぐらいになるんですね。
桝田氏:企画してからはね。でも実際ゲームになってからは……、何年だろう……?
――『勇者死す。』がゲームとしてリリースされたのは、2007年の携帯アプリが最初ですね。2009年にゲームバランス調整をしたディレクターズカット版『勇者死す。ディレクターズカット』が配信されて、2016年にはフルリメイクされたPlayStation Vita版が発売されました。
桝田氏:じゃあ、ゲームとしては13年だね。
――そうなりますね。今回は新たにリマスター版を発売することになるのですが、そもそも『勇者死す。』のリマスター版を出すことになった経緯というのは、なにか理由があったのでしょうか?
桝田氏:それは、今回『勇者死す。again』を開発した株式会社ピラミッドから話が来たんですよ。
僕は、「『勇者死す。』はほかに類を見ないゲームだと思っているし、PS Vita版を出したときにユーザーさんからいろいろな要望が出ていたので、もう一度リマスターを出すのならそこも直せたら良いのではないか」と話したんだよね。
そうしたら、しばらくして「『勇者死す。』のリマスターをやりましょう」っていう話にまとまったの。
――なるほど、ピラミッド側からの提案だったんですね。ちなみに、PS Vita版のときにユーザーさんから寄せられた要望というのはどんなものだったのですか?
桝田氏:最も多かったのは「一度しゃべった人の頭の上になにか表示して欲しい」というもの。それは実はPS Vita版を開発しているときから言っていたんだけど、理由はわからないけどできなかったんだよね。時間がなかったのか、忘れられちゃったのか……。
その機能を今度こそちゃんとつけようと。
あとは、ユーザーさんが僕が思ったよりも何回もチャレンジするんだよね。
なので、そういう人はだんだんと戦闘がめんどくさくなってきたって訴えるようになる。なので、もう弱い敵は跳ね飛ばすなり、なんらかの形で戦闘をしなくて済むようにしようというのがあったね。
――戦闘まわりだと、『簡易戦闘(弱い敵は勇者を見て逃げ出す)』、『オート戦闘』という追加機能が入っていますね。あと、『早回し機能(戦闘・デモ等)』も。
桝田氏:そうそう、そのあたりを今回は入れてるね。あとはなんだろうな……。「ゲームのボリュームが少ない」っていう意見もなかにはあったんだけど、それに関してはそんなことはなくて、ボリュームはそれなりにあるんだよ。
ただ、細かいイベントを拾わずに進めることもできちゃうゲームだから、そういうイベントに気づいてない人がいるんじゃないかなと思って。
それで、しゃべってない人にマークをつけるか、あるいはしゃべった人にはマークをつけるようにしようと考えたんです。それがあればPS Vita版ではイベントをスルーしちゃった人も、今回新たにプレイすると前よりはたくさん楽しめると思うんだよね。
――すみずみまで楽しめるように遊びやすくしているんですね。
桝田氏:そうだね。遊びやすくなっていると思うよ。
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