New 2020/02/26 Now On Sale! PV Update

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――携帯電話向けアプリとして最初に『勇者死す。』を作っていった頃のことをお聞きしたいのですが、そもそも1周が5日で終わるゲームの“5日”という日数はどこから決めたのでしょう?

桝田氏:いや、あれは最初は7日だったんだよね。7日のほうが覚えやすいでしょ。


――たしかに1週間ですし。

桝田氏:7日にして月曜日から始まって日曜日で終わるっていうのが、まあ美しいかなと思っていたんだよね。人との会話でも「今は水曜日で○○までいった」っていう言い方ができるし。ただ、携帯電話のアプリにするときに想定していたイベントとかキャラの数とかを、大人の事情もあって2~3割削ることになっちゃったんだよ。

――内容を削らざるを得なくなった。

桝田氏:そうそう。当初の7日だと最後の2~3日はやることがなくなっちゃうぞってなったんだよ。

――日数とイベントの数が合わなくなっちゃって、バランスを合わせたら5日になったと。ちなみに、そのときに削られたキャラクターというのは……?

桝田氏:それはPS Vita版に入れたんだよね。


――あ、なるほど。PS Vita版に追加された『ヨナ』と『ベラナベル』の二人ですね。

桝田氏:そう。ただ、当初に考えていたものを完全に復活させたわけではないんだけどね。ダンジョンや町を1個増やしたかったのだけど、予算と開発期間、なにより調整期間が予測できないってことで。そのときにできていた場所だけでできる範囲で作ることになったんだよ。



――世界も本当はもうちょっと広かった?

桝田氏:うん。もともとの構想だと女の子一人に対してひとつのダンジョンがあるという作りだったんだよ。そのほうがイベントを管理しやすいじゃない。そういう構想だったんだけど、まあしょうがないよね。携帯電話のアプリでやりますってなったからには。


――当時のガラケーのスペックだと制限がものすごく多かったですよね……。ちなみに、『勇者死す。』の世界観は当初からファンタジー調で考えていたんですか?

桝田氏:それは……、これもマーケティング的なことなんだけど、日本でお話とかキャラクターとかいうものを立ててゲームを売ろうとしたら、ジャンルはRPGで、勇者が出てきて、王がいて、お姫様がいて、魔法使いがいてっていうのが、一番とっつきやすいんだよね。某有名RPGの影響だね。

――某有名RPGの影響(笑)。でも、そうなりますよね、だからこそ国民的RPGとまで言われているわけですから。

桝田氏:日本の市場は、明らかにあの作品の影響が強いね。もちろん、それ以外のものだってできるんだよ。だけど、そうするとプレイしてくれる人が減ることを想定しなきゃいけなくなるレベルだったから。

ただ、もちろんそれでも近未来ものだったり、『俺屍』みたいな大昔の日本が舞台のものとかでも、さっきの話にあったように確実に求めてくれる人たちっていうのはいるんだよね。そういう人向けにしようと決めている企画であればファンタジー以外もありなんだけど、そういう意識も特にないのであれば一番間口が広いファンタジーにしとけってなる。『勇者死す。』もそうだね。


――なるほど。勇者の死、そしてラストには葬儀シーンもあるなど独特な表現があるゲームですが、日本人がイメージしやすい日本風の世界観にするといった考えはあまりなかったのでしょうか?

桝田氏:それはあれだ、それこそ恋愛シミュレーションゲームとかがそうなんだけど、あんまり距離が近いとウェット過ぎるんだよね。例えば、高校生に高校で起きたようなことをリアルにゲームでもやらせると、僕らが思っている以上に感情的になってしまうというか。

――生々しくてゲームじゃなくなる。

桝田氏:そうそう。それよりは、なにか一つ、あいだに緩衝材を挟むというか。「これはゲームですからね」ってすると、生々しいネタをやっても楽しんでもらえる。


――なるほど。刺激的なテーマを扱うからこそ重要な考え方だと思えます。ちゃんと現実との境目をつけるというか。

桝田氏:そうなんだよ。『勇者死す。』ってわりと現実的なネタがいっぱい入れているんだよね。壁が崩壊したあとの東西とか、冷戦終わったあとの途上国の食事情とか。そういうファンタジーらしくないテーマがいっぱいある。


――そうですね。町の人と話していると「あれ、自分は勇者なんだよな?」って思うときもあるほどで。勇者が救ったあとって全員ハッピーでしょみたいに勝手に思い込んでいたんですけど、『勇者死す。』は現実的で。人って共通の敵がいるときだけ一致団結できて、そこにベクトルが向いている間は、ある意味で平和なんだなって……。

桝田氏:まあ、そうだよね。生々しくて結構えげつない世界だよ。


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